後悔は消えないし、消えなくてもいいのかも

無性に過去に戻りたくなる時がある

「あの時ああしてれば」

「あんなこと言わなければ」

今の自分も少しは違ったんじゃないか?

我ながら愚問だな、と思う

どれだけ嘆いたって後の祭りなのに

 

無性に過去に戻りたくなる時がある

果たして現実逃避の末の思考なのだろうか

別に過去に戻ったからといって

何か特別な状況になるとは到底思えないのだ

ならどうして僕は過去に戻りたいと思うのだろう

 

無性に過去に戻りたくなる時がある

誰かに好かれるためだけに生きていた自分に

今の僕ならなんと声をかけるだろうか

評価の軸は常に他人にあって

そしてそれが心地よい、と

本気で思っている時期があった

 

自分がどうしたいか、ではなく

他人たちはどうしたいのか

それに合わせて頷いていれば何も困らなかった

自然と周りに人がいた

くだらないことでお腹が痛くなるほど笑えた

自分の生活を捨ててもいいやと思えるくらい大切な人が出来た

誰かの役に立てる、誰かの特別でいられる、

誰かに必要とされている、

僕はそんな自分が大好きだったのだろう

 

でもそんな僕は長く続かない

殺し続けても自我は決して死ななかった

僕でない僕を愛してくれた彼ら彼女らはいなくなった

僕でない僕がいなくなった僕は愛されなかった

 

偽物の自分に非があるのだ

そう思い始めたら

形容し難い気持ち達が止め処なく溢れ出した

 

本物を求めすぎていた

都合良く立ち振る舞う自分の頭の悪さに絶望した

新聞紙で作ったお札で宝石を買おうとしているのだ

上手い事見せたって

最後には見抜かれるのだ

 

詰まる所

信頼していなかったのは僕の方なのだ

僕は初めから彼ら彼女らを裏切っていたのだ

ステージに立つ前も、立った後も

いつだって欺こうとしていたのは僕だった

 

その事実に気付けなかったのも真実だ

これこそが本物だと思い込んでいたのだ

そして正しいと、疑いようのないものだと

勘違いしていたのだ

 

こんな紛い物を渡すのはやめよう

本物だけを送ろう

すぐには難しいかもしれないけど

いずれ出会うかもしれない

本物を愛してくれる人を愛そう

そして愛したい人を愛そう

心からそう思ったのだ

 

そう思える自分は

偽物の存在によって生まれた自分だと思う

嫌な気持ちなどはない

きっかけは何であれ

いまの僕を好きでいてくれる(?)人がいる

僕はあなた方に出会えて本当に良かった

 

 

そしてあなた達と同じ時間を過ごすといつも思うのだ

「初めからこうしていれば違ったのかな」と

 

 

そう思わずにはいられないからこそ

無性に過去に戻りたくなる時があるのだろう

 

 

 

 

 

おしまひ